ベトナム進出 検討企業はJETROのこの記事もう読んだ?

ベトナム進出検討企業のみなさん、こんにちは。
Gau Vietnamでは中小企業に特化してベトナム事業成功を一緒にさせていただく事業開発を行なっております。ベトナムでは珍しいベトナム国内のBtoCマーケティングの知識・経験・ネットワークを活用していることが特徴で、ビジネスモデルの構築・実施・改善に訴求いたします。
Gau Vietnamって何?と気になった方はこちらへどうぞ (紹介記事)
Gau Vietnamのブログでは、特に中小企業 かつ BtoC企業でベトナム事業を検討してもいいかな?と考えられている方向けに役に立つ情報を独断と偏見でお送りしております。
オンラインで直接話を聞いてみたいと思っていただいた場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡を下さい。
・JETROによる記事を紹介しながら、ベトナムはアツい!というポジティブな部分だけではなく、把握すべきネガティブな部分もご紹介
・BtoC企業によるベトナム市場開拓において必要な考え方をご紹介
目次
ベトナム市場開拓のヒント:出典について
本記事のベースとして取り上げる記事の出典は「ベトナム市場開拓のヒント (JETRO 2020年9月11日)」
実際に拠点をベトナムに置いて、調査や各種業界の企業の商談会を設定したりヒアリングを継続して実施されているJETROさんだからこそ書くことができている非常に有意義なレポートに感じます。
Gau Vietnamとして、JETRO記事について最大の敬意を払いつつご紹介させていただきます。
より多くの方に読んでいただけることを祈っております。
是非、出典である記事も読んでみてください。
*BtoC企業向けです。
ベトナム進出の理想と現実

ベトナム進出をご検討されたことのあるみなさんは、こうした情報をみて「ベトナムはアツい!」と考えたことはありませんか?
- ベトナムの経済成長に関するニュース
- チャイナリスクの回避先としてベトナムが有力に
- 中流層が増え始めており、購買力が上がってきている
など・・・
もちろん、それらの情報は正しいと思います。
またJETROの記事でも・・・
ベトナム統計総局によると、ベトナムの小売売上額は2019年、1,627億3,000万ドルだった。2010年が673億7,000万ドルだったのに対し、約2.4倍の規模に成長したことになる(図参照)

Gau Vietnamとしても、ベトナム人が日本に対して持っているイメージは「安心・安全・高品質」であり、そこに関しては確固たるイメージを持っていると思います。
また、親日(日本が好き)であり、電化製品などの場合日本製を好む層もおられます。
そうしたベトナム人が持つ日本に対するイメージにうまく訴求してベトナム人消費者にアプローチをする日本企業が多いとJETROさんも言及されていますね。
こうした良い側面はたくさん語られておりベトナム進出への意欲を感じる企業さんも多いのではないでしょうか?
ベトナム国内の日系BtoC企業といえば・・・
- エースコック
- ホンダ
- ヤマハ
- パナソニック
など、名だたる大企業がベトナム国内で市場シェアをとっておりますが、彼らのベトナム国内での歴史と投資額(マーケティング費用等も含む)は非常に大きいものであります。
中小企業のBtoC企業にはなかなかその規模での投資は難しいのではないかと考えております。
そして現実問題として、日本企業でベトナム進出にチャレンジをしている多くの中小企業がBtoCでうまく勝ち切れていない (ビジネスとして軌道に乗っている事例が少ない)
というのがGau Vietnamが認識をしている課題であり、JETROの記事に記載されている内容に暗示されている部分であると考えております。
だからこそ、本記事ではJETROの記事を題材にあげさせて頂いております。
日本製だから売れる = 夢物語
この記事を読まれている方にまず強くお伝えしたいのは、日本製だから売れるという考え方は間違いであるということです。
よくあるケースが、
広告を含むマーケティング予算はないので、ベトナムのオンラインショッピングサイト(日本でいう、楽天やアマゾン)に出品して様子をみたい
というケースです。
ベトナムでコンサルや広告代理店に費用を払って出品管理するのは、受注する側からすると売れても売れなくても関係ないので別に良いのですが、結論からいうと売れるわけがありません。
何千、何万という商品がベトナム国内の出品者はもちろん、ベトナムはアツい!と考えている世界各国の出品者が出品している中に、ちょこっと出品したところでその商品ページを何人が見てくれるのか?
「とりあえず出品 = 調査 (様子見)」の構図には一切なり得ません。
仮に楽天に、日本人のほとんどの人が知らないような商品を出品して、マーケティング活動を行わず様子を見た場合、その「結果」はどうなると思いますか?
JETROの記事でも・・・
輸出が増えれば日本の商品への理解が進むのか、日本の商品への理解が進めば輸出が増えるのか。「鶏が先か、卵が先か」の議論だ。情報化および国際化の進んだ今日の世界でも、外国に商品を売り込むことは容易ではない。日本の商品をそのまま海外へ持ち込み、やみくもに売り込んでも、なかなか結果は出ない。そうではなく、商品の本当の価値を理解してもらう必要がある。
と提言されています。
ベトナムにとりあえず出品して様子見を行った場合に起こりうるのは2パターン:
①ベトナムではウチの商品はあんまり売れなさそうなので、進出は難しいですね
②ちょこっとだけ予算(10万円 - 20万円)かけて広告出稿して売れるか様子を見ましょう
この場合、①・②のどちらに進めば日本企業が幸せになれるでしょうか?
Gau Vietnamとしては、どちらに進んでも幸せになれないと考えています。
この場合にまず考えるべきは;
- その製品がベトナム人に対して課題 (Insight) 解決の価値を提供できるか? (潜在ニーズはあるのか)
まずは、ベトナム人に知ってもらえれば使ってもらえるのか?を考えないと意味がないですね。
知ってもらっても使ってもらえないと思うのであれば、時期尚早もしくは習慣的な違いなどによりニーズがなかったと言うことで理解して良いでしょう。そこで初めてベトナム進出を諦めればいいのです。
少なくとも、日本で自信を持って日本人に製品を提供しているのであれば、ベトナム人に同様のニーズがあるのかどうかを考えるのが重要でしょう。
だからこそ、市場調査(統計的なものから個々人へのインタビュー等)をしっかりと行う必要があるのです。
その潜在ニーズの確認ができないのであれば、そもそもベトナム事業のビジネスモデルの構築においても基盤が弱いものにしかならず、ベトナム進出はただのギャンブルにしかなり得ません。
Gau Vietnamが行う事業開発が「マーケティングでベトナムを切り拓く」と謳っているのも、そのギャンブルを発生させずにしっかりと根拠を確認しながらビジネスモデルを構築・運用・改善をしていかなければ、ベトナム進出する日本企業が損をすると考えているからです。
JETROが考えるベトナムで売れない理由とその対策は?
JETROの記事では・・・
とりわけベトナムは、日本との物価の差が大きく、日本から輸入される商品の大半は、輸出に関わるコストを差し引いても高価格だ。安定的な経済成長を継続しているとはいえ、大きな問題だ。「なぜ高いのか」「どのような価値があるのか」という海外バイヤーや最終消費者の素直な疑問に対し、実直に対応し、十分に納得してもらうことは、避けて通れない。
とあります。
ここのキーワードは「高価格」
より多くのターゲットに購入してもらう必要がある中、ベトナム人にとっての高価格帯とその価格に対する購買力は資料をみて想像するよりもずっと渋いです。
ベトナム人に愛される商品で、それなりに利益率が見込めて・・・と考えながら輸出入のコストや在庫保管のコストその他を考えると、どんどんいい値段になっていきます。
実際、ベトナム進出を目論むBtoC企業の多くにとっては、この高価格が販売不振の原因の一つになっていると思われます。
多くの企業は、実際に実施をしてみて「ベトナム人は値段にシビア」だと感じる方も多いことでしょう。
つまり、お金を出せるだけの購買力があるのと、お金を出すのとはイコールではないのです。
さて、この高価格を解決する手段としては大きく2つあります;
①高価格の単価を維持したまま、価格を下げる方法を探す
②高価格の販売価格を維持したまま、販売できる方法を探す
このJETROの記事では、②の方でのソリューション案が挙げられています。
高価格の販売価格を維持しながら、販売する方法
JETROが実際に記事として例に挙げている点のうちの2つをみていきましょう。
①バイヤーと協力した商品価値を説明するプロモーションの実施
JETROによると・・・
多くのベトナムバイヤーが指摘するのは、商品の価値や魅力をしっかりプロモーションする必要性だ。バイヤーは、日本企業からの支援を必要としている。ハノイ市内に複数店舗を持ち、日本製のベビー・キッズ商品を中心に取り扱うバイヤーA社の代表は「日本のメーカーにはブランディングの段階から参画の上、ベトナム市場で一緒に効果的な販売促進をしてほしい」とコメントする。ベトナム市場にはすでに、日本を含むさまざまな国・地域から商品が輸入されている。
これは、自社で進出するというよりかは、ベトナムにいる販売代理店(ディストリビューター)がいるケースかと思いますが、「日本からベトナムに販売して、はい終わり!」だとなかなかベトナムで売れずに誰も中長期的にハッピーになりません。
日本から製品を出す側にすれば、最初の取引はハッピーかもしれませんが、その後ベトナムで売れなければ次回以降の取引の規模が大きくなっていきません。
だからこそ、しっかりと販売代理店と意見交換やアイディア出しなどにしっかり入り込んでいかないと厳しいと言うことでしょう。
販売代理店単独だとマーケティング費用もなかなか出しづらい部分もあるので、そうしたマーケティング費用のサポートも念頭に一緒にビジネスモデルを作っていく必要があります。
一般的に日本企業が商品の特徴として挙げる、安心・安全や高品質・高機能をセールスポイントとした商品であふれている。そのため、新規に市場参入するにあたっては、既存の流通商品とは異なるアピールや工夫が不可欠だからだ。ベトナムバイヤーだけでは、必ずしも商品について十分な説明ができるわけではない。どんなに価値の高い商品であっても、その価値が消費者に理解されなければ、売れ残るリスクがある。プロモーションイベント時の人的支援やPOP広告のツール作成などをベトナムバイヤーと日本のメーカーが協業で行うことで、最終消費者に対し商品の魅力をより訴求できる。多くのベトナムバイヤーが、そう考えている。
安心・安全・高品質はあって嬉しいが、それら単独で購入を決定させる価値にはなり得ないのではないかと、Gau Vieitnamは考えています。
つまり、「〇〇ができる!」「〇〇に効果がある!」製品について検討している人へのプラスαの価値として、安心・安全・高品質があると言うことです。
だからこそ、ベトナム人ターゲットが感じている課題(insight)をしっかりと調査し、把握して、そこに訴求できる製品をぶつけていく必要があります。つまり、「この商品ならあなたのこんな課題が解決できるのです!」をアピールしていくということです。
こうした課題と製品のアピールポイントのマッチする部分は、単純に調査しただけ、ベトナムに詳しい人に聞いただけではなかなか分かりません。だからこそ、マーケティング目線での中長期的な事業開発が必要となります。
食品を中心に日本の商品を取り扱うバイヤーB社の担当マネージャーは、「店頭でのプロモーションイベントで日本のメーカーから直接、調理方法などをデモンストレーションしてもらうと非常に効果的だ。ぜひ日本のメーカーには定期的にベトナムに足を運んでもらいたい」と話す。バイヤーは複数の輸入品を取り扱う。そのため、特段の理由がなければ、特定の商品だけに力を入れて営業・販売することはない。また日本のメーカー側も、「買い取ってくれれば、あとは興味がない」というケースも多い。
「日本から商品を販売する側」と「ベトナムで日本から買い付けて販売する側」の想いがちょうどぶつかり合っている部分です。
現地のディストリビューターがいるのであれば、一緒にアイディアや予算のサポートを行う必要があると最初から想定して販売をしていく必要があるかと思います。
ビジネスモデル上、ディストリビューターにも予算規模の限界はあるので、メーカーからのサポートは必須かと考えます。
「現地で販路をもってるんでしょう?うまく売ってくださいね!」で成功するほど楽なケースは稀なのではないでしょうか。
②柔軟にカスタマイズしたパッケージを
JETROの記事によると・・・
ベトナム市場向けにカスタマイズしたパッケージも求められている。輸入商品を中心に、ベトナム国内で100店舗以上の小売店を持つバイヤーC社の担当マネージャーは「化粧品や衛生関連商品に関しては、その効用や効果、使用方法について丁寧な説明が必要だ。そのための説明を、可能な限りパッケージにベトナム語で記載してほしい」と話す。使用方法を誤って理解されると、重大な事故につながりかねない。そのため、ベトナムバイヤーはそのようなリスクに対して非常に敏感だ。ベトナム語対応については、既存の商品にシールを貼ることなどでも対応可能ではある。しかし、他の競合商品との差別化を図るためには、もう一歩踏み込んだ取り組みが求められる。例えば、同じ贈答品用のパッケージでも、日本とベトナムでは好まれるデザインが異なるなど文化の違いもある。
これはあくまで個別事例のひとつという前提を理解しておくべきかと思いますが、現地の販売代理店の営業マンからヒアリングをし、何を消費者が求めているのかを把握、その解決策として対応できるものをしっかりと探していく必要があります。
"オンラインだけ"はいばらの道

(一部省略)
2020年4月の社会的隔離措置期間はEC(電子商取引)サイトでの購入が増えた。しかし、日本からの輸入品は現状、実店舗での売り上げの方が多い。・・・「現状、日本からの輸入品の売り上げの8割以上が実店舗での販売によるもの。やはり見慣れない輸入品は、店員から説明を受け、手に取って確認したい顧客が多い」と話す。新型コロナウイルス流行を契機に、ECやデリバリーサービス、キャッシュレスサービスなど新たなサービスの利用が拡大した。しかし、オフラインから置き換わったとは言い難い。今後も、そうした新サービスは大幅に拡大していくと思われるが、現状、市場においては消費行動のかなりの部分は実店舗に戻っている。ベトナム市場の開拓のためには、実店舗などのオフライン市場が依然として重要といえそうだ。
ベトナムへの越境ECや実店舗を持たない形でのベトナム進出が多く叫ばれる中、オフラインの重要性を強くとなえているこの記事は非常に重要であると考えます。
「オンラインのみでの販売に活路はない」という意味ではないという前提でいうと;
①ベトナムへの越境ECには越えるべき課題は多くある
②中国で流行っているライブコマースは、ベトナムではまだ難易度が高い
(*そもそも、売りだけでなく収支でみた場合、中国のライブコマースで勝っているのは一握りという話も?)
③化粧品系でベトナムで最大級に売れているメーカーも、オフライン販路がしっかり固められており、ECチャネルに割いている予算も莫大なものである
など、オンライン限定での展開を決定する前にしっかりと理解しておきたい部分です。
中長期でのマーケティング x 事業開発が必要
JETROの記事をベースにベトナム進出についてご紹介してきましたが、いかがでしょうか?
考えないといけないメリット・デメリットはこれらだけではありませんが、そうしたものを最初から洗い出すのは至難の技です。
実際に、走りながら、限られた予算でトライアンドエラーを辛抱強く繰り返すことこそが、中小BtoC企業にとっての勝ち筋なのではないかと考えております。
まだベトナムにはない中小BtoC企業の勝ち筋、みなさんがそれを産み出す会社となることを願っております。
せっかくここまで記事読んだし、Gau Vietnamに少し相談してみようかな?と思っていただけましたら、迷わずお気軽にこちらもしくは下のフォームからご連絡ください。
ご相談・ご連絡お待ちしております。